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WINESとWOMEN

2013年08月12日 category : blog, カクテルあれこれ 

 早いもので今年も半分が過ぎて、もう8月です。
秋風が吹く頃には、早くもボージョレーのヌーボーの宣伝が出回る事でしょう。

戦後何度かのワインブームがありましたが、近年のワインブームは
落ち着いてきた感じで、日常生活の中へ浸透して来ました。

 私がワインを扱った頃の話です。
ボージョレーのヌーボーを5000円で仕入れて8000円で売りました。
今ではそんな値段では誰も買わないでしょう。
記憶に残る美味なワインではラターシェです。3万円位でした。
今では手の届かない値段になりました。

 ウイスキーとは違い度数も低く食中酒であること、また
格好いいグラスも多種にあり、ルールも整備され
何か文化の香りがします。そして世界的に消費量が増えており
結構なことです。

そこで今回はワインにまつわる洒落たエッセイをご紹介致します。

【WINESとWOMEN】

この両(ふたつ)のWこそは、現世(うつしよ)に、めでたき限りの
双璧であることに御異議ないことと存じまするが、さてWINESと云い、
WONENと申しましてもお広うござんして・・・・・


ボルドーの赤は至上の飲みものであって、
もし女にたとえるならば、
正妻の座にすえるべきもの。

如何なる料理ともよく調和して、
食事をいとも楽しいものにして呉れる。

正に人生の伴侶ではある。
 
だが、男というものは、時に浮気の虫を起す。
ボルドーに倦怠した間隙をきらびやかに埋合せて呉れるのがシャンパン。

シャンパンは街のおんな。
之を購い得るほどの甲斐性のある男は、
晩かれ早かれ、一度は必ず手を出さずにはおかない。
但し、ほどほどにしておくのが肝要で、
すごしたらたちどころに悪酔いして頭痛を起こす。
シャンパンも、街の女性も、何時でも手の届く範囲内に
存在するけれど、お値段が程にはいただき兼ねる。
 

モゼルの酒は二八の乙女。

軽くて、さわやかな舌触り。
その絶妙なかぐわしさ。

しかし、残念ながらボディ(こく味)を欠く。
常日ごろ、いくら飲んでもさわりは無いが、
若いうちだけが花。
 
 
 
真の香気をもとむるならば、もっとこくのある酒をさがさねばならぬ。
この要望にこたえて呉れるのがバーガンデー・・・・・

それもシャンベルタンかミュージニーがよろしい。

バーガンデーは三十女。
こく味ボルドーを凌ぎ、
濃艶、豊満、高い香気を発散する。

しかし、酔いの廻りが速いから、
ゆめ、自制の手綱をゆるめるべからず。
 
 
ポートは四十の大年増とも云うべきか。
その強さ、その豊かさ、その甘さ、バーガンデーを上廻り、
こく味満点だが、香気の点では、いささか落ちる。
極めて永持ちのする酒で、年齢と共に熟れてくる。

この酒を自由に心ゆくまで賞味できるのは
若者だけに許された特権であって、中年以上の者にとっては、
一口以上は重すぎる。
毎日飲めば痛風(ゴート)を起す。

もしそれ「吾こそは精力絶倫」と自認し、
しかも「あとはどうなろうときゃーなろたい」と
おっしゃるならば、五十年のクラスト・ポートに
止(とど)めをさす。
強い上にいみじき香気があって、
たちどころにポォーっとなること
必定であるが、この酒を常時座右に置くことだけは
おすすめ出来ない。熱烈なる賛美者は、如何に頑健を
ほこる人と云えども、必ず健康をそこね、
天寿を完うしたしたためしがない。
 
 私自身の好みを云うなれば、
左様、ごくありきたりの、名も無きフレンチ・ワイン・・・・・
淡い黄金色か又は淡桃色の、味は完全で、ほのかな香り・・・・・
半打(ダース)は空けてもちっとも酔わなかったが・・・・・
 憶!
 これは再び呼戻す由も無き若き日を想って、
思わずもらした老生のためいきですぞ。

『嗜好』392号(昭和31年6月1日)
(フランク・ハリス『我が人生と恋愛』より)

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